目が覚める本

 

書店員という「天職」について、つらつらと書き連ねられたエッセイ集です。

 

なぜあえて「天職」と表現したのかというと、それを前提として語らなければ、本屋はとっくに今よりさらに半減していてもおかしくないと思えるほどの状況だからです。

 

ということは、本来ならアフィリエイトで紹介すべき本ではないことは察していただけると思います。ですが、まずは少しでも多くの方にこの本の存在を知ってほしいので、その話は後ほど。

 

本屋の経営がどこも厳しいという現実は、お客側である私たちも薄々感じていると思います。しかし、本書では「何が」「どれほど」厳しいのかが、生々しく、そして具体的に綴られています。
決して気持ちの良い内容ではありません。しかも、解決策もなければ物語のようなオチもない。

 

人件費は削られ、一人あたりの仕事量は膨大なのに給与は見合わない。本屋をより良くするためのプラスアルファの仕事にまで手が回らず、にっちもさっちもいかない。それでも本への愛着だけで、首の皮一枚つながっている――そんな現状が描かれています。
ちょっと版元への八つ当たりも添えて(八つ当たりではなく切実に思う不平不満がしかと書かれてはいますが)、それでも状況は変わらず、書き手である書店員の方々は、腑に落ちない思いを抱えたまま、今日も品出しに忙殺される日常へ戻っていくのです。

 

店長は大学時代の丸々4年間、学生アルバイトとして新宿の某チェーン書店で働いていました。(大学1年の5月から4年の3月最終週までなので、本当に丸々4年間ですね。)

 

アルバイトはレジ業務が中心で、担当棚を持つような立場ではありません。それでも、バックヤードで目の回るような発注や品出しをこなしていく社員の方々の余裕のなさは、傍から見ていてもひしひしと伝わってきました。
そんな状況の中でも、私たちアルバイトのために時間を割き、レジ対応や言葉遣いの指導(本を扱う仕事なだけあって、この点は特に厳しかった)、電話対応の流れ、ラッピング、本を取り寄せるまでの流通の仕組みなど、本当に多くのことを教えてくださいました。
今になって振り返ると、それがどれほど大変で、ありがたいことだったのかを実感します。
(手順書もなく触ったこともないソフトウェアのタスクを突然振られることも多いエンジニア職、まずはググるところから始まる。)

 

あと、お客様からお問い合わせいただいた本の在庫がなかった場合は、他店(チェーン店なので、この融通が利くだけまだマシ)や取次、版元から取り寄せるのですが、版元から取り寄せる場合の到着の遅さは、ヒリつくものがありましたね。
Amazonなら翌日に届くような本が、版元経由では10日ほどかかることもある。お客様にその事情をご説明するのも簡単ではありませんし。

 

しかも、この版元から届いた本が折れのない綺麗な状態で届く保証が100%じゃないんですよ……。更に10日かかるかもなんて、やってられないですよね。

 

 そしてコロナ禍を経た今、その頃とは比べものにならないほど厳しい状況になっているのでしょう。

 

この場で解決策を思いつけるくらいなら、きっと誰も苦労はしていません。だからこそ、この不平不満が一冊の本になるほど積み重なってしまったのだと思います。

 

独立系書店や通販の充実など、新しい分野へ裾野を広げていく方法も、一つの解決策ではあるのでしょう。
ですが、この本が語っているのは、今ある大型・中型書店をどう支えていくのかという話です。

 

さて、「アフィリエイトで紹介している場合ではない」という話でした。
本音を言えば、ぜひお近くの本屋で買っていただきたいです。

 

……とはいえ、さっきお話ししましたよね。版元から取り寄せるのは大変なんです。

 

 軽く各書店の在庫を調べてみましたが、潤沢とは言えない状況のようでした。
ですので、事情をご理解いただける方は、ぜひ店頭で相談してみたり、各書店のウェブストアから注文して気長に待っていただければと思います。
また、この本は寄稿された書店員の方々にも印税という形で還元されるはずです。どのような購入方法であっても、新刊として手に取っていただければ、それだけで十分な応援になるのではないかと思っています。

 

 そのため、当サイトではいつものようにAmazonへのリンクのみ掲載させていただきます。
もし取り寄せに時間がかかる可能性も含めてご理解いただけるようでしたら、ぜひ書店での購入もご検討ください。

 

ということで、今回紹介した本は『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』(大塚真祐子/水越麻由子/篠田宏昭/前田隆紀/笈入建志/モーグ女史/小国貴司/嶋田詔太

)でした。
ご興味を持っていただけましたら、ぜひ下のリンクから、もしくはお近くの本屋からお買い求めください。